中屋彦十郎がお届けする、金沢、生薬漢方薬についてのメールマガジン
「金沢の漢方薬、生薬専門店」バックナンバー
中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第6号 2002年5月20日
偽の牛黄を作る男
偽の牛黄を作る男
牛黄(ごおう)は牛の胆嚢または胆管にできた結石で大きさ1cm〜3cmの不規則な球形、または角のとれたサイコロのような形をした赤みがかった黄褐色の物質で、意外に軽く割ってみると、木の年輪のような同心円状の層があります。
口に含むと心地よい苦味とかすかに甘味があります。
日本薬局方という国の定めた公定書にも記載されている立派な薬なのです。
ビリルビンを主成分とし科学的な分析方法も確立され一定の水準以上のものが輸入されるように品質管理されています。
滋養強壮剤、強心剤、高血圧、中風、小児用薬として様々な医薬品に使われています。
但し、生産国によって品質には差があり、ここが牛黄の最も難しいところなのです。
品質のいいところから順番に豪州産、北米産、中米産、南米産、中国産、印度産となっています。
一番良品の豪州産と印度産ではこれが同じ牛黄かと見まごう程、品質に差があります。
当然価格にも差があり豪州産と印度産では3倍以上の価格差があります。
豪州産で一般小売売価が3.75グラムで20,000円位です。印度産は6,000円位です。
北米産、南米産、中国産はこの中間の価格帯です。ここで、牛黄の鑑定に職人的な勘と、経験が要求されてくるのです。
「金」の売買価格が1グラム1,200円くらい、仮に3.75グラムとして、4,500円にしかならないのです。
いかに牛黄が高額かご理解いただけると思います。
一般では豪州産と北米産と中、南米産を見極めることは極めて困難です。
従って、長い経験と熟練した鑑定眼のある信頼できる店で買うより他に方法がないということです。
ところが、輸入品はすべて日本薬局方基準に合格しているのですからこのあたりが不思議なところです。
私は20代に、大阪の漢方薬の貿易商で修行していましたが、その時不思議なことのできる男に巡り合いました。
その男K氏は偽の牛黄を作ることができるのです。
見ていると、核になるものをウコン(漢方の植物薬、カレーの原料にもなっている)の粉と砥粉で固めその上に筆で順次練り固め大きくしていくのです。
時々、牛黄の粗悪品の粉も混ぜ丸い偽牛黄を作るのに5日間を要しました。
彼の日当は10,000円としても人件費だけで50,000円となり、豪州産牛黄の価格の約3倍にもなり割の合わない仕事だなあと思いました。
標本として出品する予定だと彼は言っていました。
しかし、どこで、誰が偽牛黄を作るかわからないので一般消費者は専門家のいる信頼できる店で買うのが一番ということになりそうです。
(発行者)中屋彦十郎薬舗(株) 中屋彦十郎 石川県金沢市片町1丁目1−29
掲載された記事を無断で転載することは禁じます。
©2001 - 中屋彦十郎薬舗株式会社 All rights Reserved.
プライバシー保護方針 特定商取引法に基づく表記
本社・薬局/通信販売
〒920−0981 石川県金沢市片町1丁目1-29 TEL 076-231-1301/FAX 076-231-1306
工場
〒921−8117 石川県金沢市緑が丘21-9 TEL 076-245-3366
|