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中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第61号 2003年6月10日
江戸の薬(釜屋艾)、漢方薬膳料理(紫蘇葉)
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江戸の薬(釜屋艾)
釜屋艾(かまやもぐさ)
灸とはもぐさを経絡に点じて火をつける刺戟療法で、仏教などと一緒に中国から伝わった。
平安朝には公家の間に流行し、戦国期には武士のあいだにも一般化した。
出陣に際しては三里に灸をしたという。
江戸期に入ってからは庶民の間にも普及した。
やがて「灸の日」「灸の掟」などが口伝につたわり、風俗として定着した。
灸といえば伊吹もぐさが名高い。
伊吹山の山麓に亀屋というもぐさ屋があった。
二日灸という言葉を聞いたことがあるように、二月と八月の二日に灸をすえることをさしている。
二日灸をすえると特効著しいと伝えられ、嫌がる子供にも強制するようになった。
私も子供のころに嫌がるのを無理矢理連れて行かれ、灸をすえられたのを記憶している。
一年で一番寒暑の激しい時期を選んだのは、風邪や暑気に灸の効用を誇示するためだったのだろう。
灸の掟には房事前三日と後七日の計十日間は控えたほうがいいという。
灸に使う艾は蓬(よもぎ)から作られる。
夏の盆を中心に前後一ヶ月位が採取期である。
草丈が一メートルほどに伸び、葉が白く丸みを帯びたヨモギがよい。
原料としてよく用いられるのはヒメヨモギとカワラヨモギで、採取したヨモギは天日で乾燥する。
その間約四か月かかる。
山に雪が積もる頃もぐさの製造ははじまる。
蒸気乾燥のあと粉砕機にかけ、石臼で粉にする。これを篩いで振り分ける。
篩いに残った蓬を仕上げ機にかけると、あのもぐさ特有の感触が生まれる。
江戸時代一世を風靡した伊吹もぐさの販売所が江戸小網町の釜屋だったという。
漢方薬膳料理(紫蘇葉)
紫蘇葉
紫蘇の葉の生薬名です。
七〜八月頃しその葉を摘み、半日ほど日干しした後、風通しのよいところで午前中だけ陰干しします。
少なくとも午後二時頃までには取り込みます。
午後三時を過ぎて陰干ししていると湿気を吸ってカビが生えやすくなります。
かぜのひきはじめには、乾燥した紫蘇の葉五〜十グラムを水四百ミリで煎じ、三分の一まで煎じ詰め、これを一日量として二〜三回にわけ、その都度温めて飲みます。
咽頭炎、口内炎、口臭にもよい。
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