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中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第46号 2003年2月24日
江戸時代の薬(黒焼き)、漢方薬膳料理(クコ酒)
江戸時代の薬(黒焼き)
黒焼は炭化する前の状態で止めて作り上げるのである。
有名なものにはイモリの黒焼がある。
正徳三年(1713年)刊の和漢三才図会には「イモリの交合せるものを山を隔ててこれを焼き、もって媚薬となす。壮夫争いてこれを求む」とある。
雌雄のイモリを捕らえて竹筒の節をへだてておくと、三夜のうちに節を食い破り、交接した形になっているという。
これを別々に素焼きの土器にいれ黒焼にする。
できあがったところで薬研ですり粉末にする。
これを意中の人にふりかけるのではなく、一服飲ませるのである。
なびくのは間違いないという。
恋い患いの特効薬である。
黒焼は古代の人間の生んだ知恵である。
漢方では「炮」(ほうじる。いわゆる炮じ茶とかいうあれである。)とか「炙」(火にかざしてあたためる)とか 「焼」とかいわゆる修治を加える。
これが効能をたかめるのである。
この発展したのが黒焼なのです。
生のままでは気味悪かったから黒焼にするというのである。
毒を減じるという効果もある。
河豚の黒焼がその例である。
皆様がよく目にする猿の頭の黒焼は猿頭霜(えんとうそう)と呼ばれ脳の疾患に効果がある。
土龍(ミミズ)の黒焼は痔に効果がある。
猫の黒焼は咳止めに、時烏は血の道に、鯉は乳房の傷に効きシマヘビとマムシは肺病にいいという。
私は随分前だが川烏を黒焼にして作ったことがある。
大変な匂いで死体を焼いているのではないかと、近所から苦情があり挙句の果て、警官のお出ましには参ってしまった。
現代では古典を扱うのは難しいということを実感しました。
黒焼の作り方は最初の方でお話ししたので、今回は簡単にしておきます。
鹿胎子といって胎児の黒焼もあったらしい。
江戸時代の庶民が好んで飲んだものに「時烏」の黒焼がある。
これを白湯で飲むと言葉の訛りを矯正できるとか、ザクロの黒焼を五月節句の人の汲まない水で飲むと疫病にかからないといったようなことが奥様方の間で真剣に叫ばれていたというのです。
黒焼きは炭ではないのです。
生を存して焼くのです。
漢方薬膳料理(クコ酒)
枸杞酒(くこしゅ)
一.ホワイトリカー一リットルを用意します。
二.氷砂糖適量。
三.枸杞子百グラム。
四.クコシを水で洗っておく。
五.広口の瓶にクコシを入れホワイトリカーを入れる。
六.四,五日ごとに瓶をふり半月ほど待つ。
これは滋養強壮に効く。視力減退にも良い。
この処方に高麗人参、鹿茸を加えると「男宝(ナンパオ)」になる。
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