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中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第22号 2002年9月2日
漢方薬の甘草について
漢方薬の甘草について
今から30数年前、大阪へ修行に行っていた頃、そこの研究室の人と京都のある薬科大学を訪ねました。
その大学の研究者の人は金沢大学の私の恩師であるK教授は何を研究しておられるのですか、というのです。
私は差し支えのない範囲で「甘草のグリチルリチンです」と話しますと、研究者の人たちは笑いあうのです。
当時、甘草は漢方の矯味、矯臭薬ていどの評価しかなく、そんな物研究してみたところでたいした実績はあがらないだろうという推測でした。
ところがこの甘草はその後、多くの学者の研究によって次々と新しい効能、効果が発表されガンの予防や肝炎、胃潰瘍にも優れた効果のある事が確認されました。
甘草はマメ科の多年草でシベリア、蒙古、中国東北部に産します。甘草の有効成分はグリチルリチンですが薬効の主なものとしては抗胃潰瘍性作用、電解質ホルモン様作用(細胞の活動を正常にする)、抗炎症作用、抗アレルギー作用、解毒作用、抗ガン作用などが発表されています。
グリチルリチンはすでに製剤化され急慢性肝炎、抗炎症、じんましんなどの抗アレルギー剤として販売されているのは周知の事実です。
これまで、肝臓病に特効薬はないといわれてきましたがこのグリチルリチンは肝臓病に有効であることがわかってきたのです。
血液中のある種の酵素であるトランスアミナーゼ(GOT、GPT)を測定することによって効果を確認できますが、グリチルリチンはGOT、GPTの数値を下げることが証明されています。
ガン特に肝臓ガン、肺ガンの予防に効果のあることが発表されています。
ガンは何故発生するかについては議論のあるところですが、細胞の核のなかにある遺伝子(DNA)に何らかの異変が起こり、その細胞が無限に増殖して、正常細胞のコントロールがきかなくなりついには人間自身を倒してしまうのがガンなのです。
ガンを予防するには体内に入ってきた毒物や発生した毒物をすみやかに排出するか、無毒化すればいいのです。
グリチルリチンには細胞膜を修復したり、毒物をすみやかに体外に排出して解毒してしまう働きがありますから、発ガン性の物質が取り除かれて予防効果があるというわけです。
ガンの予防薬としてこれから更にグリチルリチンの研究はすすめられていくだろうと思います。
最近では免疫不全症候群であるエイズにたいしても有効であるという報告もあります。
かって、グリチルリチンのKといわれた教授も亡くなってもう30年近く経ちますが、やはり先見性があったのだなあということが、今更のように感じている今日この頃です。
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