中屋彦十郎がお届けする、金沢、生薬漢方薬についてのメールマガジン
「金沢の漢方薬、生薬専門店」バックナンバー
中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第19号 2002年8月12日
漢方のエキス剤
漢方のエキス剤
今から340年前、既に漢方薬の煎じ薬を滑石や硝石末を加えて粉薬に仕上げ、加賀藩では「紫雪」という販売名で発売されていたということは前号で話しました。
ところが、現在ではエキス製剤というのはかなり一般的になっています。例えば、インスタントコーヒーはその代表例でしょう。
我が国の漢方のエキス製剤の最初は1947年武田薬品から発売された「平胃散」でしょう。
その後、エキス製剤の製造方法は改良を重ねられ次のような方法で行われます。タンクで生薬を煎じる。高温のまま煮詰めて濃縮すると成分が分解する。
気圧が低いところでは、低温で沸騰する原理を応用し、減圧して摂氏60度位で水分を蒸発させる。
この先はメーカーによって製法が異なる。一番多い噴霧乾燥方式は、ノズルや回転円板の小穴から濃縮エキスを霧のように吹出し、乾燥させて粉にする。
この粉は水分をすってベトベトになるので、乳糖や澱粉などを混ぜて固める。噴霧せずに粉にする凍結真空乾燥もある。
また、濃縮度をたかめて直接澱粉などを入れ、粉末にする方法もある。
漢方薬を煎じるのは手間がかかる。エキス製剤は揮発成分に問題があり、効果が劣るのではという意見もあるが、品質が安定しているうえ、何といっても簡便なところが捨て難い。
煎じ薬の作り方を説明します。1000mlの水が入る土瓶を用意します。
約600mlの水を張り(コップ3杯分)、1日分(1袋)の漢方処方薬を入れ、土瓶の蓋をあけたまま、トロ火で30〜40分煎じ、約半量になるまで煎じつめる。
出来上がった薬液は茶漉しガーゼでこし1日分とします。この方法で漢方薬は服用するのが一番ですが、手間のかかるのが難点です。
当店でも煎じ薬の需要にも対応しています。
何故、煎じ薬がいいかと申しあげますと、個々の生薬の薬効を引き出せる点にあります。それと総合的な効果も期待できます。
エキス剤がいいか、煎じ薬がいいかは一長一短でしょう。
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