中屋彦十郎がお届けする、金沢、生薬漢方薬についてのメールマガジン
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中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第17号 2002年7月29日
当帰(とうき)の話
当帰(とうき)の話
漢方薬として用いられているトウキは山地の岩間に野生している。
セリ科の多年草で根の部分が薬用になります。幾分細めの根の集合体です。
花は白く、枝先に複数形状につけて咲きます。
北海道、奈良県あたりで栽培されています。韓国でも栽培されています。
市場では北海道産のものを北海当帰、奈良産のものを大和当帰と称しています。
業者の間では両者が見分けられるようでなくてはならないわけです、産地によって価格に大きな開きがあるからです。
最近、新聞、TVで産地を偽って表示して一般消費者に売ることが報道されていますが、相手がシロウトであることを考えると許されない行為です。
私は今から25年位前にこの当帰を北海道へ「買い付け」に行ったことがあります、仲買人の話によると当帰は春に買い付けて夏過ぎに売れば儲かるというのです。
キロあたり250円のものが350円位に値上りするというのです。
口車に乗せられ、当時30トンばかり買いました。うまくいけば、300万円ほどの利益があがる予定でした。
6月頃、小松から飛行機で札幌へ行き、列車を乗り継いで訓子府(クンネップ)という町へいきました。
北海道でもかなり北のほうです。
一面の当帰畑を案内されながら、これはうまくいくぞと心密かに思いました。
収穫次第、金沢へ送ってくれるよう手配しました。
ところが、8月になっても買い付けた当帰がなかなか売れないのです。
仲買人にこの事を話すると、具合の悪いことに韓国産が大量に入荷してきた。というのです。
やられたと思いましたが、安くしてでも売って逃げようと考え、夢中で投売りしました。
結果的には夜の街で少し遊ぶ金が残ったくらいで、ストレスが貯まっただけ割りの合わない仕事でした。
それ以後はもう二度とやってみようとも思わないでいます。
当帰は気、血を正常な状態に戻す働きがあります。 気というのは漢方の独特の概念で気の循環が順調であれば健康で、この循環がどこかで停滞すると病気になるという考えで、心理的な緊張や不安が原因となっておこります。
気がのぼると、顔がほてり、足が冷えたりします。
血は血液が体内に停滞する状態で「おけつ」とよばれます。
女性の血の道症でくちびるが乾く、肌があれる、のぼせる、腰が冷えるという症状です。
駆おけつ剤といって「おけつ」をとり除く処方として当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などがあります。
手足の冷え、腰の冷え、めまい、耳鳴り、心悸亢進、生理不順、帯下などにすぐれた効き目をあらわします。
当帰は副作用が全くないぶん、作用が穏やかなのが難点です。
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