中屋彦十郎がお届けする、金沢、生薬漢方薬についてのメールマガジン
「金沢の漢方薬、生薬専門店」バックナンバー
中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第120号 2004年8月2日
江戸時代の薬(振り出し薬)、薬の作り方(舐剤)
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江戸時代の薬(振り出し薬)
戦国時代には煎じ薬より、振り出し薬のほうがよく利用されていたようである。
「振り出し薬」というのは紅茶にみられる ように最近になって発売されたもので、煎じ薬の簡単なものと思っていたが、どうも逆らしい。
当時の戦場では刀傷の手当てをする外科医が必要だった。
野外で手早く治療するためには薬も携帯に便利でなければならない。
そこで、傷専門の金創医たちに重宝がられたのが漢方 の古典で取り上げられている「泡剤」である。
細かく刻んで配合した生薬を絹か麻の小袋に入れておき、これに熱湯を注ぐだけで薬効成分を抽出するのがねらいである。
湯を注ぐから振り出しと呼ばれ、これが煎じ薬のルーツだというのである。
確かに戦場では一刻を争うし、簡便でなければならない。
そんな、兵士達の要望にぴったしだったのが「振り出し薬」だったのである。
外科薬だけでなく、下痢止めや腹痛、頭痛薬 など広く振り出し薬が利用されていた。
薬の作り方(舐剤)
「丸薬」「錠剤」は夫々、製丸機や打錠機が必要です。
丸薬や錠剤を作るのは機械がいるので、誰でも簡単に作る というわけにはいきません。
しかし、錠剤、丸剤ほど便利 というわけではありませんが、これらに準じて利用でき 誰でも作れる製剤があります。
「練り薬」今風にいえば「舐剤」です。
この作り方ですが、
一、処方に従って各生薬を計量する。十日分位を用意する。
二、それらを全部を乳鉢に少量づつ入れ砕きながら混合 する。(乳鉢は薬局で売ってくれる)
簡単に仕上げる時はコーヒミルを利用する。 (コーヒーミルはホームセンターで用意)
三、上記のものを篩いにかける。
少なくとも百メッシュ位 の細かさにそろえる。(篩いはホームセンターで用意)
四、篩いを通過した粉末に蜂蜜とお湯を少量加えかき混ぜる。
五、鍋にお湯を張り、加熱する。その上でビーカーに(四) を入れ、熱を加えた状態でかきまぜる。
六、広口のビンに入れ保管する。
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