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中屋彦十郎薬舗による「尾山のくすり大将」第106号 2004年4月26日
江戸時代の薬(烏犀円(うさいえん))、化膿性のおでき
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江戸時代の薬(烏犀円(うさいえん))
「烏犀円(うさいえん)」
加賀三味薬の一つである。
佐賀県にも烏犀円はあるが、製剤の色が加賀は黒色なのに佐賀は褐色である。
元は万病円と同じく中国の金、元時代の流れを汲む仙薬つまり仙人になれるという意味の後世方の薬方である。
特徴的なのは硫化水銀や附子などの劇薬が配合されていることである。
鉱物薬が三、動物薬が十二、昆虫薬が四、植物薬が
三十九合計五八味で構成されている。
この配合されている各生薬を仕入れ、修治(しゅうち)を施し製剤化するまでの前処理をするのに多くの時間と職人の手間暇をかけて作業がなされた。
例えば、硫化水銀は硫黄と水銀から合成製造するところから、始めている。
狐肝(こかん)などは狐の肝臓を用いている。
狐肝は烏鴉(カラス)とともに黒焼にして製していたようである。
カラスなども寒鴉といって寒中のものを使用した。
白彊蚕(びゃくきょうさん)カイコのことですが、糸を出す嘴を取り除いて鉄板の上で炒める。
白附子は炮とある。
これは濡れた和紙に附子を包んで熱灰のなかに入れておくのではないか。
白花蛇は一晩酒に浸して、炙る、骨、皮を去り肉を用いる。
白朮(びゃくじゅつ)は米汁に一晩浸して焙煎し、かすかに炒る。
この作業を五八味の生薬すべてに施し、ようやく原料が出来上がるのです。
これに蜂蜜を加えて蝦蟇の油を若干加え搗き砕く作業をするのです。
この作業が落ち度がないか、手抜きがないか、藩医堀部氏が監督にあたったのでした。
之を飲めば仙人になり、不老長寿が得られると考えられたのです。
まさにお殿様のご愛用の薬ですね。
現代にこれを作れば、一個五万円くらいで、できるのではないでしょうか。
しかし、厚労省は承認しないでしょうけど。
化膿性のおでき
「カキドウシ」
化膿性のおできにカキドウシ(連銭草)を使います。
五〜十グラムのカキドウシをすり鉢に入れ、水を適量加えドロドロになるまで搗き砕く。
少量の小麦粉を入れて練って軟膏を作ります。
これをガーゼに伸ばして貼り患部にあて、一日数回貼り替えます。
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