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漢方薬の精力剤について

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精力剤を飲むにしても、男性ホルモン製剤やヨヒンビン製剤はどうもと言う方に、ぜひお奨めしたいのが漢方薬の精力剤だ。漢方用語である陰萎は勃起力の不足を意味している。原因として最も多いのは、脳のほうから脊髄の中枢への刺激が抑制される場合が多い。
代表的な漢方薬精力剤としては植物薬、動物薬、鉱物薬などを多くの先人達が実地の服用して効果のあったものが後世に伝えられた。代表的なものに解説を加えた。
漢方処方の精力剤としては「牛車腎気丸」「桂枝加竜骨牡蠣湯」「柴胡加竜骨牡蠣湯」「八味丸」「十全大補湯」「補中益気湯」が挙げられる。この製剤は各個人の症状に併せてどの処方がいいか判断する。漢方生薬製剤としては「マムシホルモ」「海馬補腎丸」「至宝三鞭丸」「新ロクジュオウ」「亜鉛」「金粒マムピン」などがある。これらの製剤は古来より精力増進に効き目があるといわれている漢方生薬を何種類も配合したものである。
「マムシホルモ」はマムシ抽出液、マムシの胆乾燥末、牛黄、高麗人参、鹿茸、イカリソウ、クコシ、レバー末など18種が配合されています。「海馬補腎丸」は海狗腎 (オットセイの睾丸) 、驢腎 (ロバの睾丸) 鹿腎 (鹿の睾丸) 、海馬 (タツノオトシゴ) 、鹿茸 (ロクジョウ) 、ごうかい (オオヤモリ) 、高麗人参など20種類の漢方強精剤が配合されている。
「至宝三鞭丸」は鹿鞭 (鹿の睾丸) 、海狗腎 (オットセイの睾丸) 、広狗腎 (イヌの睾丸) 、海馬 (タツノオトシゴ) 、ごうかい (オオヤモリ) 、高麗人参、淫羊かく、桑ひょうしょう (かまきりの巣) など30数種の漢方薬の精力剤が配合されている。「亜鉛」は精子の構成成分である。亜鉛が不足してくると精子の製造能力が落ちてきて射精しても一回の精液の量が少ないことになる。当然のことながら妊娠させる機会も減少してくる。
これらの製剤のほかに単味の漢方薬(生薬)を買い求めて煎じて飲んだり、薬酒にして強壮、強精、回春、不老に役立てるという方法がある。
これと思う漢方薬(生薬)を買い求めて、ご自分の好む処方で調合して服用しても医師法にも、薬事法にも抵触しない。
生薬には動物性や鉱物性のものもあるが主として植物性のものを取り上げた。生薬は殆どは刻んであるがご希望に応じて姿形のままのものや、粉末の物も手に入れることもできる。
今現在、即効性の精力剤を飲んでおられる方も平生からこれらの生薬を服用していれば性力を向上させることができ、回春、強精に役立てることができる。
下記の生薬は殆どは「本草綱目」から抜粋した。長年、先人が経験からいいと考えたたものなので、副作用の心配は殆どない。
ともかく精力剤は話を聞くだけでは前進しないので、先ず飲んでみることこそ肝腎である。隗より始めよという ではないか。

  • 材料の植物薬、動物薬、鉱物薬は下記からお探しください。

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  • 身近な精力剤になる動植物

    1. ムイラプアマ

      南米原産の植物で、ブラジルアマゾン地域で有名であり、ドリンク剤などにもよく配合されています。ボロボロノキ科の低木で、現植物は三種類くらい知られて いて、木から落ちた種子がその周囲に成育し、その若木の根を集めたものなのです。いづれも同様の強精、強壮作用 があるといわれています。流エキスや陰部浴剤としても用いられる。根が薬用とされますが、催淫性が強く、アマゾンの女族伝説では一人の男が千人の女を相手にできると いわれるくらい、よく知られた強精剤です。強精作用のほかにも、心臓および内臓諸器官の機能回復 、運動機能や筋力の回復、リュウマチなどに効果があるといわれております。成分的には、苦味質、精油、インドール 系アルカロイドなどが含まれています。
    2. 山薬 (さんやく)

      本州以南、台湾、中国大陸に分布するヤマノイモ科のつる性多年草、ヤマノイモまたはナガイモの根茎を用います。一般的には日本の野生のものはヤマイモまたは自然生といい、栽培品はナガイモといっている。肥大した根茎はまっすぐに 地中にのび茎と根の中間的性質を持っている。現在八百屋で販売されているものはナガイモである。成分は澱粉と粘液質のマンナンのほか、糖類やアミノ酸、コリン、アラントイン、グルコサミンが含まれる。滋養強壮薬として常に食すれば、精がつくといわれる。熟地黄や山茱萸と配合するとさらに効果が上がる。
    3. 「けん実」

      中国漢方の精力剤に配合されていることで、よく知られている。日本各地、台湾、中国、インドなどに分布するスイレン科の水生一年草、オニバスの成熟した種子の仁を用います。池や城の堀などで直径一メートルにもなる大きな葉を広げ、葉や葉柄に刺が密生してフキに似ているため水フキとも呼ばれる。種子は球形で黒いが、澱粉を多く含みその他に蛋白質、カルシウム、鉄分、ビタミンB1B2などが含まれています。補腎の効能があり、遺精、頻尿、夜尿、腎虚に用います。一ケ月以上も継続服用したほうが良い。
    4. 「ガラナ」

      ドリンクなどに配合されていることでよく知られています。ブラジルのアマゾン河流域を原産とするムクロジ科のつる性 植物ガラナの種子を用います。ブラジルでは果実を採取したあと積み上げて発酵させ、種子を取り出します。種子は直径一センチの球形で、表面に光沢があります。この種子を砕いて粉にし、キャッサバ (タピオカ デンプン) とともに棒状にします。これを薫煙乾燥すると黒褐色の硬いガラナができます。ガラナエキスにはカフェイン、タンニン、油脂などが含まれ カフェインの含量はコーヒーの三倍といわれます。催淫作用のあることは広く知られています。
    5. 「鹿茸 (ろくじょう) 」

      中国東北部、朝鮮半島、ロシアなどに生息する哺乳動物、シカ 科のマンシュウジカおよびマンシュウアカジカの雄のまだ骨質化していない幼角、いわゆる袋角を用います。シカの雄は生後二年目の春から角が生える。角は毎年生えかわり 、春に紫褐色の毛のはえた瘤のような袋角が隆起し、夏から秋には成角となります。鋸で茸角の基部で切り落としたものを鋸茸 (きょじょう) 、殺して頭骸骨をつけたまま加工したものを (かんじょう) と いっています。鹿茸は火で焼いて毛を除き、焼酎に一昼夜浸したあと薄片にして乾燥したものを薬用にします。一般には先端部ほど、喜ばれます。また鹿茸からアルコール抽出したパントクリン (鹿茸精、ルーロンジン) は心臓機能の回復作用、強壮作用、疲労回復作用 などが確認され漢方では腎虚を補い、精血を益し、漢方ではインポテンツや不妊症、精力の低下などに人参、海馬、海狗腎などと配合します。 (海馬補腎丸)
    6. 「アミノ酸」

      私達の体は約六十兆個の細胞からできていますが、いつも 同じ細胞で生きているわけではありません。細胞は絶えず死に、それに替わり新しい細胞が生まれ変わり平均して約二百日で殆んどの細胞が生まれ変わります。若さを保つということは死んでいく細胞と生まれてくる細胞のバランスがうまく保たれている状態といっていいでしょう。ですから、しっかりと蛋白質を摂ることで、この老化現象を おさえることができます。細胞は蛋白質で構成されていますから、良質の蛋白質を補給 すれば、細胞の新陳代謝が促され、死んでいく細胞と生まれてくる細胞のバランスをうまく保つことができ、老化を防ぐ とともに、若返る事もできるのです。特に生殖器では毎日、精液や精子が作られていますが、それ だけ新陳代謝が盛んにおこなわれているということです。良質の蛋白質を十分に摂取することは、生殖器の老化を防ぎ、精液や精子の製造を活発にすることができるのです。この蛋白質を構成しているのがアミノ酸です。蛋白質は約二十種類あるアミノ酸から構成されていますが、このうち八種類のアミノ酸が人体内では合成されません。これが必須アミノ酸です。この必須アミノ酸は食事などで外部から摂取しなければなりません。この必須アミノ酸のどれかが少なかったり、欠けたりしていれば蛋白質の合成がうまくゆかず、老化が始まります。この八種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれているものといえば、スッポン、マムシ、ウナギ、オットセイなどでしょう。これらの食品が強精食といわれる由縁です。
    7. 「反鼻 (はんぴ) 」

      マムシの内臓を除去した全体を用いる。体長五十センチ前後で全体は褐色で黒褐色の円形の斑紋がならび、頭は小さく三角形である。皮を剥いで棒状にしたものを反鼻あるいは五八霜と呼んでいる。皮付きのまま蒸して円盤状にしたものを「マムシの蒸し焼き」と呼んでいる。マムシに噛まれると血液毒や神経毒によって血液循環障害や出血、壊死、浮腫などが表れる。しかし、飲めば脂肪酸、タウリン、コレステロール、アミノ酸 ビタミンがふくまれているので、滋養強壮剤として有効だし、連用すれば精力増強にも優れた効き目を現わすようになります。また、黒焼にすれば解毒剤として使われることは知られています。焼酎につけたものはマムシチンキとして利用されています。 (
    8. 「百合 (びゃくごう) 」

      ユリ根が精力にいいということは古くから知られており、亭主の精をつけるのに食卓には日常よく料理として並べられていたものである。日本ではヤマユリ、オニユリ、ササユリの鱗茎が用いられ、中国では百合、細葉百合、テッポウユリなどの鱗茎が用いられている。アミガサユリの根茎は貝母である。鱗茎の成分は澱粉、脂肪、たんぱく質のほか少量のアルカロイドである。漢方では潤肺、止咳、安神の目的でも使用される。乾燥性の咳が長引いたり、大病後の滋養強壮にもよい。慢性的は咽喉の炎症や鼻汁がでたり、鼻づまりの症状にもよい。精力食、元気回復食というところでしょうか。
    9. 「益智 (やくち) 」

      中国広東省南部および海南島に分布するショウガ科の多年草。ヤクチの果実を用いる。果実は褐色の長さ一.五~二センチくらいの紡錘形で芳香がある。この果実を果皮が黒くなるまで 炒り、殻を除いて種子を取り出し、砕いて使用する。果実の精油成分は主にシネオールで、ほかにジンギベレン、ジンギベロールなどが含まれる。漢方では脾や腎を温補し、健胃・固精の効能があり、冷えによる腹痛、下痢、夜間頻尿、排尿障害などにも用いる。腎虚には古くから使用されている。
    10. 「海馬 (かいば) 」

      中国南部の沿海に生息するヨウジウオ科のタツノオトシゴを海馬という。市販されているものはオオウミウマやサンゴタツを海馬と称し一般的である。海馬には男性ホルモンに似た作用があり、マウスの発情期を延長させる作用があるといわれる。漢方では補陽、強壮、活血の効能があり、インポテンツや 遺尿、夜間頻尿、老人性咳、難産、腹部腫塊などに用いる。また、皮膚化膿症の治療に海馬をスープにすると効果がある。
    11. 「鹿鞭 (ろくべん) 」

      哺乳動物のシカ科のマンシュウジカおよびマンシュウアカジカの雄の陰茎や睾丸を乾燥して用います。シカは薬用としてさまざまな部分が利用されており、幼角の袋角を鹿茸 (ろくじょう) 、成角を鹿角、四肢の筋腱を鹿筋などがよく用いられます。薬材の鹿鞭のうち梅花鹿腎は直径三~四センチ、長さ十五センチくらい、馬鹿腎は直径四~五センチ、長さ四十五~六十センチくらいの長い褐色の棒状で、途中に睾丸二個をつけ、頂端に一束の褐色の毛がある。漢方では補陽強精の効があり、過労による体力の低下や難聴、耳鳴り、精力の減退、下肢倦怠感などに用います。
    12. 蛤かい (ごうかい)

      中国南部の広西省やベトナム、タイなどに生息する爬虫類のヤモリ科のオオヤモリを用いる。体長二十センチもある大きなヤモリで、山間の岩場や樹木の穴 、壁の上などに生息し、夜行性で主に昆虫などを捕食している。雄を蛤、雌をかいといい合わせて蛤かいである。オオヤモリの内臓を除き、四肢を開いたのちあぶって乾燥し 、二匹を対にして竹に固定したものが市場にでている。尾の部分の薬効がすぐれているとされ、尾の欠けたものは劣品である。漢方では補気、補陽、止咳の作用があり、インポテンツ 肺結核、喘息、滋養強壮薬として用いる。至宝三鞭丸、ネオ金蛇精に配合されている。
    13. 菟絲子 (としし)

      日本各地、朝鮮半島、中国に分布するヒルガオ科のつる性一年草、ネナシカズラの種子を用いる。そのほかハマネナシカズラおよびマメダオシの種子も用いる。ネナシカズラは寄生植物で他の植物にからみつき、吸盤で養分を吸収しながら成長する。宿主植物が決まると、根に続くところが枯れて根がなくなるためネナシカズラの名前がある。種子の成分にはカロチンやタラキサンチン、ルテインなどがふくまれる。漢方では補陽、固精、明目、強壮などの効能があり、遺精、糖尿病、視力低下、排尿障害などに用いる。滋養強壮、精力増強に腎陰虚、腎陽虚に用いる。
    14. 巴戟天 (はげきてん)

      中国の広東、広西、福建省などに自生し、栽培されている アカネ科のつる性常緑木本、ハゲキテンの根を用いる。日本の屋久島や沖縄には同属植物のハナガサノキがあり、ハナガサノキの根も中国では巴戟天と同様に用いる。根にはモリンジンが含まれている、漢方では補陽、強筋骨の効能があり、頻尿、失禁、インポテンツ 不妊、下腹部冷痛、腰痛などの腎陽虚症状、下肢の筋力低下や 関節痛に用いる。淫羊?と同様に滋養、強壮作用がある。ナンパオや 至宝三鞭丸にも配合されている。
    15. 桑ひょう蛸 (そうひょうしょう)

      カマキリ科のオオカマキリ、コカマキリなどの卵鞘を用います。カマキリの成虫は蟷螂 (とうろう) と呼ばれていますが、余り用いない。桑の枝に付いているものが珍重され、桑ひょう蛸と呼ばれたいる。カマキリの巣を晩秋から春に採取し、せいろ で三十~四十分蒸して卵を殺した後乾燥する。日干し乾燥したものは硬く、火であぶったものは柔らかい、一般には幼虫の出たものは用いない。成分不詳。卵鞘に付着している蛋白質膜にはクエン酸カルシウムの結晶が含まれている。漢方ではインポテンツ、遺精、夢精などに用いる。腎虚には頻尿、遺尿、遺精、健忘症、不眠などに遠志、人参 などと配合する。至宝三鞭丸にも配合されている。
    16. 補骨脂 (ほこつし)

      インド原産で、インドから東南アジアに分布するマメ科の一年草で、オランダビユの成熟した果実である。補骨脂はその薬効を表した名といわれる。中国では四川、河南などを主産地とします。果実五ミリ位の腎臓形のもので、果皮は種子に付着し、種子には芳香がある。果実には精油や有機酸 、配糖体、種子にはクマリン類のプソラレンやアンゲリシン 、フラボノイド類のババキニン、カルコン類のババカルコンなどがふくまれ、冠血管拡張作用や女性ホルモン様作用、抗菌作用などが知られている。漢方では補陽薬の一つで、固精や縮尿の効能があり、遺尿や頻尿、失精やインポテンツ、腰痛、倦怠感などの症状に使用する。海馬補腎丸、ナンパオに海馬、人参などと配合される。
    17. 「益母草 (やくもそう) 」

      女性の強精と浄血に効果がある。目を明らかにし精を益し久しく服すれば身を軽くするという。益母は女性一般の強精保健薬で、古くから賞用されている。益母という名前がすでに女性の効果を謳ったものである。原植物はシソ科のメハジキで我が国の山野に自生している。草丈五十から百五十センチで、夏に淡紅色の花をつけ、秋に三角形の黒い小さい実を結ぶ。この草の茎葉を益母といい、種子をじゅういしといい、種子のほうはその効果のほかに目を強くし利尿の効果がある。成分としてはレオヌリン、ルチン、アルカロイド、スタキドリンで、これらの成分は少量では子宮に対して緊張をあたえたり、運動を与えたりすることが明らかになっている。
    18. 「黄耆 (おうぎ) 」

      主に体の強壮に用い、強精の効果があり、心臓の強化と血圧を下げる力あり、美肌を作る。副薬効として胎毒を下し、血を清め、利尿によく、寝汗を治す。中国では黄耆は五補の聖薬といわれその薬効は高く評価されている。他の生薬と調合し複方薬を作るとき、強精回春のためには欠かされない要薬といわれている。原植物は中国の東北、華北、朝鮮半島などに分布するマメ科の多年草キバナオウギ、中国東北から蒙古にかけて分布するナイモウオウギなどの根を用いる。品質の良いものは外部が淡褐色、内部は黄白色で、甘くて香気があり、断面は繊維性で毛状となっている。特に山西省綿山に産する綿黄耆は上質とされている。黄耆の成分にはイソフラボノイドのホルモノネチン、トリ テルペンサポニンのアストラガロサイドのほか、コリン、ベタインなどが含まれている。黄耆エキスには利尿、強壮、降圧、抗アレルギー作用、末梢血管拡張作用が報告されている。
    19. 玄参 (げんじん)

      中国では原植物はゴマノハグサ科のゲンジンを、本邦では近縁植物のゴマノハグサを用いる。山野に自生している多年草で、茎は方形をして、葉は卵形、円錐状の小さな花を初夏に開く。根は塊状で長さ六~七センチ、大きいものは塊状をしている。外部は淡褐色だが内部は漆黒色で甘い香りがあるが味は苦味と辛味がある。中国ではむして薬用とするが、本邦ではそのまま乾燥して用いる。主な薬効は精を強くし、精力を盛んにし、健忘症を治し、鎮静の効もある。その他、解熱、消炎、咽喉諸症に効き、利尿剤 ともなる。「腎気を補い目を明らかにする。」「五臓を定め虚を補い 、陰を強くし精を益す」「虚損を補い健忘を止め、腫毒を消す」と古典には記されている。玄参は解熱消炎剤としてもしられているが、強精剤としても古くから中国では知られている。本邦でも江戸時代には人参に代わっ て広く愛用されていた。人参は高価でとても庶民には高嶺の花であったが、玄参は効果がよく値段がやすいので庶民の間には広く浸透していた。
    20. 「地黄 (じおう) 」

      薬効としては強精の効強く、強壮、貧血を治し、造血と浄血の効がある。悪い血を除き、良い血を保ち、喀血を止め、子宮出血を止める。地黄は中国の古典では最強の強壮、強精薬として紹介されている。「血を涼し血を生じ、腎水真陰を補う」 もっとも広く愛用されている要薬の一つで、地黄の良いところ は温和で用いやすく、長く用いて副作用なく、味も甘くて万人向きでじわじわと全身に効いてくれる。現植物はアカヤジオウという中国原産の多年草で、野生品はなくすべて栽培品である。葉は長楕円形で柔らかい毛が生え、根は地下に長く伸びて細い芋の形に這っている。初夏に茎の先端に美しい紫色の花を開くが、花の美しさから佐保姫 (サオヒメ) と呼ばれている。薬用には根茎を使うが生のまま乾かしたものを乾地黄といい、一度蒸して乾かしたものを熟地黄といっている。熟地黄のほうが甘味が多く色も漆黒で、いかにも効果があるようですが、効果にさほどの差はない。
    21. 「牛膝 (ごしつ) 」

      本邦中部地方以南の山野いたるところに自生する多年草でヒナタイノコズチの名前で広く知られている。分枝した茎が五十から百センチにのびる。葉は楕円形で、夏に穂の形の小花を開き、秋に楕円形の実を結ぶ。果実は動物や衣服にくっつく。この草の根を乾燥したものが生薬牛膝である。味はおだやかで苦味がある。主な薬効は強精と回春の効果があるといわれ、血を清め、血を作り、利尿の効もある。また経水を順調にし、鎮痛と健胃の効があり、嘔吐を鎮めることでも知られる。中国の古典でも「淫萎を治し、腎を補い、十二経脈を助け、悪血を逐う」とある。中国でも古くから強精回春薬として、利用されている。根の成分には昆虫変態ホルモンのイノコステロン、エクジステロン、サポニンのオレアノール配糖体、各種アミノ酸、β-シトステロール、スチグマステロールなどが含まれ、子宮収縮作用、腸管抑制作用、降圧作用、止痛作用などが報告されている。強精の目的には一日八グラムを煎じ薬として用いる。
    22. 「大薊 (たいけい) 」

      原植物は本邦のいたるところに自生するキク科の多年草アザミのことである。全草または根を用いる。日本で採取されたノアザミをアザミ根と称している。大薊には清熱涼血、止血作用がある。鼻血、喀血、血便、血尿、不正性器出血などに用いる。アザミは百五十種ほど種類があり、タイアザミは各種の中でも最も大型で、茎葉一メートルになり、特有のトゲのある花も他のものより大型である。野山に自生しているのを見つけたら、その根を秋から冬に かけて掘り起こし、水洗して天日干しして、刻んで使用する。煎じても、酒に入れても良い。強精と回春によく効き、解毒と回春の効能があり、尿の出も良くなる。出血を止め、血を清め、解熱の効もある。古典にも「精を養い、血を保つ」とある。強精薬としては一日五グラムを煎じて用いる。
    23. 五加皮 (ごかひ)

      原植物はウコギである。東アジア全域にわたって自生する落葉の低木であり、ウコギの葉の形はモミジににており、五葉に 分かれて掌の形をしている。春に黄緑色の花を開き、花茎と葉茎が五本一緒にでる。二メートルくらいまで伸びる樹木で、昔から庭木として植栽され、若い葉は茹でておひたしにできる。この木の根皮が薬用になる。半ば管状で太さ五~八ミリで、長さ五~十センチ、黄褐色で芳香があり、少し苦味がある。主な薬効としては強壮と強精の効果があり、強精の効も強く 陰萎を治し、回春の効がある。また、疝気と腹痛によく浄血の効があり、中風にも用い、女性 器のかゆみにもよい。中国の古典に「男子の陰萎、女人の陰痒と腰背痛を治し、精を補い精を益し、筋骨を堅くして志意を強くする。」 五加皮は性関係の強精剤として広く利用されてきた。成分はセサミン、サビニン、アカントシドA、Dなどのリグナン類が明らかになっている。一日五~八グラムを煎薬または浸薬として食間三回に分服する。
    24. 地骨皮 (じこっぴ)

      本州以南、朝鮮半島、台湾、中国などに分布するナス科の 落葉低木。クコの根皮を用いる。クコの果実は枸杞子、葉は枸杞葉といい、薬用にする。枸杞子は枸杞酒として、枸杞葉はクコ茶として親しまれて いる。クコの根皮にはベタイン、シトステロールなどが含まれ 血糖低下作用、解熱作用、降圧作用などが認められている。根皮は地骨皮と呼ばれ、古来からは強壮、強精に効があると いわれ、性力を旺盛にするときに使われてきた。古典にも「腎の家風を去り、精気を益す。」 「肝腎の虚熱を去る」「腎を補し、肺を潤し精を生じ、気を 益す」とある。地骨皮は果実や葉に劣らぬ強壮、強精効果があるばかりでなく、解熱薬として優れている。解熱して疲労を回復する作用がある。
    25. 沙参 (しゃじん)

      中国および東南アジアに広く自生するキキョウ科の多年草であるツリガネニンジンの根を薬用とする。茎は三十から六十センチに伸び、円形の葉を出し根は大型の紡錘状をして、生根は煮て食用にして用いるところもある。局所刺激作用があり、補陰、止咳、袪痰の効能もある。強壮、強精、熱を去り、痰を切り多眠症を治す。呼吸器疾患に効あり、肌を美しくする。高麗人参の代用として使用され、古典には「五臓を安んじ 、久しく服すれば、人を利し、気を益し、肌肉を長ず」 成分としてはサポニンやイヌリンが知られている。一日五~八グラムを煎薬、または浸薬として用いる。
    26. 仙茅 (せんぽう)

      わが国の中国地方以南、ヒガシアジア、オーストラリアなどに広く分布するキンバイザサ科の多年草である。根茎を利用する。葉が黄色くて金梅を思わせるため「金梅笹」という名前がある。中国では婆羅門参といって、唐の玄宗皇帝の命により西域のバラモンの僧が献じたのが始めで、その効果は高麗人参以上ともいわれ、薬効は乳の十倍以上ともいわれる。わが国には千年以上も前に渡来したようであるが、民間人には知らさないで、権力階級のみで利用されていたようである。主な薬効としては強精、性力を強くし、回春の効が著しい。健脳、視力を強くし、顔色をよくする。ともかく、中国強精史上多くの伝説を持つ強精薬である。唐以降の宮廷では性の秘薬として皇帝その他の少数の権力者が密かに用いたと伝えられる宮廷薬である。一日六グラムを煎薬、浸薬として用いる。
    27. 「竹節に人参 (チクセツニンジン) 」

      北海道から九州まで自生するウコギ科の多年草である。トチバニンジンの根茎を用いる。主要成分としてはパナックスサポニン、パナックスプロサポゲニン、パナックスサポゲニン、オレイン酸など高麗ニンジンと同じ系統の成分を多量に含んでいる。ニンジンの代用として用いられるのも薬理的に説明がつくわけで、ことに去痰と解熱作用は人参より勝るといわれる。おもな薬効としては新陳代謝機能を刺激して強壮、強精効果が高く、健胃、痰をきり咳を鎮める作用もある。一日三~五グラムを煎薬として三回に分服する。
    28. 「天台烏薬」 (てんだいうやく)

      中国原産のクスノキ科の落葉低木、テンダイウヤクの根を用いる。わが国の近畿や九州にも野生化している。樟脳に似た香気がある。秦の始皇帝の命により、不老長寿の薬を求めにきた徐福がこの木を日本に伝えたという話もある。烏薬には精油成分としてボルネオール、リンデラン、リンデレン、リンデレロールなどが含まれ芳香性の健胃作用がある。中国ではこの若葉を重視して、日常茶の代わりに炒って用いると百年の寿を得るという。中国の古典には強壮、強精作用があると伝えられている。強壮と若返り、健胃、神経痛を治し、不老の効がある。沈香、人参、甘草と配合すると強精と回春に著効を現すと伝えられている。
    29. 「丁香 (ちょうこう) 」

      精気を興奮させ、強壮と回春に効がある。口中と身体の臭気を消す。香料として服用し、肌にもつける。二次的作用として、健胃剤として、痛みをとめる効もある。成分としては精油 (オイゲノール、アセチルオイゲノール、チャビコール、フムレン、カリオフェレンなど) 、タンニンが含まれる。古代から近代までの丁香史によると、香料というよりは興奮 性媚薬として性的虚弱者の回復に用い、内服して強精に利用すると同時に、塗布剤、挿入剤としても重宝していたようである。一日量三~五グラムを煎薬、又は浸薬として三回に分服する。食後三十分頃に服用する。原植物はチョウジというインドネシアのモルッカ諸島の原産で 一八世紀までモルッカの特産であったが、現在では東アフリカ産がほとんどである。かって丁香は黄金と同じ価格であったという。現在では安価に手に入れることができる。
    30. 「肉従容 (にくじゅよう) 」

      主に強精、精力を強くし、遺精、夢精、淫萎などに効果があります。その他、痛みを鎮め、血を清め、肌を美しくする作用もあります。古典には「五労七傷と中を補い、五臓を養い陰を強くし 精気を益す」とあります。男女ともに強精催春薬として中国では古くから賞用されている秘薬である。ことにこれが喜ばれるのは、常用しても少しもほかに副作用をおこさない点である。唐時代以降は歴代王侯でこれを用いなかったものはないとまでいわれる。成分はボシュニアキン、ボシュニアラクトンなどのモノテルペン化合物、フェニルプロパノイド配糖体やアルカロイドが含まれ、ネコにたいしてマタタビと同様の作用がある。原植物はホンオニクで寄生植物で肉質茎である。日本産はオニク (キムラタケ) で、ミヤマハンノキの根に寄生している。肉従容は別名を大芸といい、葉は退化し 鱗状となって茎についている。春に採取したものは砂に半分埋めて乾燥させ、淡大芸といいわが国にも輸入されている。秋に採取したものは水分が多いため塩湖に数年つけてから乾燥させ、塩大芸と称する。煎薬として用いる場合は一日量十グラムである。インポテンツ、遺精に効果がある。
    31. 「石斛 (せっこく) 」

      日本の本州、四国、九州、朝鮮半島南部、中国などに分布するラン科の多年草、セッコクおよびその同属植物の茎を用いる。セッコクには「スクナヒコナグスリ (少名彦薬) 」とか「イワグスリ (岩薬) 」などという和名があり、日本でも古くから薬用にされたと思われる。セッコクは樹上や岩石などに着生している。この花の開花前の全草を刈り取って、乾燥したものが生薬石斛である。精を強くし、回春の喜びをもたらし、美声薬ともなる。その他、寝汗を治し、陰萎に効がある。古典には「五臓の疲れと痩せを補い、陰を強くし精を益す」石斛は中国でも三千年の昔から、強精、催春の効を認めており、人参に代用する効果が実証されている。陰萎などの心身虚弱による寝汗を治し、しかも胃腸に障害を与えない。成分としては粘液質やデンドロピン、ノビロニンなどが含まれる。一日量三~六グラムを煎薬、または浸薬として三回に分けて服用する。
    32. 「旋花 (せんか) 」

      主な薬効は強精薬となり、全身の強壮に役立ち、回春の効果がある、利尿剤として腎臓にもよい。その他、緩下剤として、顔や肌を美しくする作用がある。古典には「精を秘し、髄を益す」とある。旋花は胎内の諸毒を下して腸を清掃し、あらためて精気をたくわえる作用あるといわれる、副効果としては肌肉の色を白くして艶をよくする作用もある。入手することが容易な薬草であるから古くから広く用いられている。量を過ごすと下痢をおこして逆効果である。成分はケンフェロール配糖体、サポニンなどである。一日量五グラムを煎薬または浸薬として一日三回に分服する。下痢が激しいようならば、量を減じて軟便程度にする。旋花の現植物はヒルガオで東アジア全域に自生する多年草である。朝顔に似ていて十センチ位に伸び、七~八月頃淡紅の花をつける。この全草を採取して乾燥したものが生薬旋花である。
    33. 「連銭草 (れんせんそう) 」

      主な薬効としては強壮剤であり、強精の効も著しく精神を鎮静 させる効もある。小児の疳とり薬としても利用される。本邦では小児の疳とり薬として広く使われているが、強壮剤としても利用されている。フランスでは局方に強壮薬として搭載されており、その他欧州各国でも相当な利用を示している。葉や茎には精油成分のL-ピノカンフォン、L-メントン、Lプレゴン、リモネンのほかウルソール酸、硝酸カリウムなどが含まれる。漢方では清熱、利尿、通淋、止咳の効能があり、黄疸や浮腫、排尿障害、咳、湿疹などに用いる。近年中国では連銭草に尿路結石には海金沙、胆石症にはインチンコウ、ウコンなどと配合した胆道排石湯などが試みられている。また糖尿病にも利用されている。一日量六~十グラムを煎薬として用いる。現植物は日本各地、台湾、朝鮮半島、中国などに分布するシソ科の多年草、カキドウシの全草を用いる。茎が伸びて垣根を通り抜けることから「カキドウシ」と呼ばれる。丸い葉が茎に連なっているため連銭草の名がある。
    34. 「枸杞葉 (くこよう) 」

      精力増強に使う場合は若葉を用いる。主な薬効として強壮と強精効果があり、催春の薬としても 用い、陰萎を治す。その他解熱にも効あり、目を丈夫にし、利尿と鎮静に卓効 がある。古典にも「煩を除き志を益し、五労七傷を補い、心気を盛んにし、皮膚骨節間の風を去り、熱毒を消す」とある。枸杞子もよいが葉と茎を刻んだものもよくきく。枸杞は若葉のときに摘んで茹で、したしもなどに食べることもできる。堅くなった茎葉は乾燥してから少し炒り、茶の代わりに一つまみを入れ、毎日用いると効果的である。枸杞については有名な伝説がある、「家を去って千里を行く 、羅摩と枸杞は食うなかれ、この二物は精気を補益し陰道を強盛するをいうなり」 強精薬として用いる場合は一日量十グラムを煎薬、または浸薬として三回に分服する。散薬として用いる場合は一日八グラムを三回に分服する。
    35. 「南天燭 (なんてんしょく) 」

      庭木に栽培されているナンテンの葉である。果実が咳止めに使用されるのはよく知られているが、葉には強精、強壮作用があって心気を興奮させ、陰萎を治す効果があるのです。熱を除き、嘔吐を治し、血圧低下の作用も認められている。古典には「筋骨を強くし、気力を益し、精を固くし、顔を駐む」南天燭は葉、皮、果実ともにそれぞれ薬効があり、古くから 庶民に親しまれている。強精に効果があるのは葉が一番である。南天の実にはアルカロイドのドメスチン、ナンテニン、プロトピンなどが含有されており、知覚神経を麻痺させたり、心臓の運動を抑制する働きもある。葉には微量の青酸がふくまれているが、この青酸が南天特有の成分と結びついて強精効果をあげると考えられている。青酸は梅の実や杏の実にもふくまれており、結合体だから、心配はいらない。南天燭は本邦では南天と呼ばれ、中国原産の常緑樹で、千年前 から渡来し、全国的に栽培されている。南天はどこの家庭にも庭木として栽培されているが、その葉を水洗いしてそのままカサカサになるまで天日で干して使用する。
    36. 「五味子 (ごみし) 」

      滋養剤として弱い体を強くし、強精と強壮に効をあげ、回春の喜びを与える。又、咳を鎮め、腸を強くし、肌を美しくする作用もある。古典に「不足を補い、陰を強くし、男子の精を益す」とある。滋養、強壮、強精薬として中国最古の薬典にも記載されており 一度は試してよい強精薬である。古い中国の薬効がほとんどそのまま現在も使われており、少しも副作用のない安心して服用できる強精薬である。果実にはクエン酸、リンゴ酸などの有機酸、シザンドリン、ゴミシン、プレゴミシンなどのリグナン類、シトラール、カミ グリンなどのセスキテルペン類などが含まれる。シザンドリンやゴミシン、には鎮痛、鎮頸、鎮静、鎮咳、抗潰瘍作用があり、近年、ゴミシン、には肝機能改善作用が注目され、急性肝炎の治療薬として注目されている。原植物はチョウセンゴミシはモクレン科の落葉蔓草で、本邦の 中部以北、朝鮮、中国山地に自生する。夏季に黄白色、または淡紅色の花を開き芳香がある。実は球形で赤く熟した頃に採取して乾燥したものが生薬五味子である。
    37. 「しつ藜子 (しつりし) 」

      主な薬効としては精力を強くし、全身を強壮にする。ほかには、肌を美しくし、利尿薬としてもよく、解熱の効もある。古典には「腎を補い、腰痛、精減、虚損を治す」とある。しつ藜子 (しつりし) は古くから賞用されている強精回春の要薬で、副作用もなく安全な生薬である。強精効果の主成分はケンフェロールなどのフラボノイドハルミンなどのアルカロイドしかしられていないが、三百年来の実証によって現代も用いる人が多いのをみても効果はあるのではないだろうか。健康人が疲れをとり精気を養うためには一日八~十グラムを煎薬、浸薬として三回に分服する。古書の通り炒って、刺が茶色になるくらいにして用いるのが良い。原植物はハマビシで本邦の海岸地帯に自生する一~二 年草である。茎は一メートル内外に伸び全株にあらい毛がある。
    38. 「地膚子 (じふし) 」

      強精の効著しく、陰萎を治し、回春と催春に効あり、精力を旺盛にする。排尿をよくし、解熱薬となり、水腫を治す。古典には「丈夫陰萎にして、起らざるを治し、気を補い力を益す」 数ある強精回春薬のなかでも、古くからその効が実証された要薬の一つである。原植物は野生、栽培とも多くあるので値も安く、人参などの高貴薬に比べて庶民的なうえに著効があるので、広く愛用されてきた。連用しても副作用がなくかすかに匂いがあるが、無味だから服用しやすい。一日量六~十グラムを煎薬、浸薬として分服する。地膚子 (じふし)の原植物は本邦ではニワクサ、ハハキギホウキギである。中央アジア原産で、中国、西アジアを経由して帰化した。一年草で、茎は一メートル位にのび庭に植えたり鉢植えにしたりする。夏季に黄緑色の花をつけ、晩秋に二ミリ位の実をむすぶ。この果実が生薬地膚子である。
    39. 「蛇床子 (じゃしょうし) 」

      わが国ではセリ科のヤブジラミの成熟果実を蛇床子といっている。カジネン、トリレンなどの精油成分が確認されている。ヤブジラミは全国の山野に自生し、葉はニンジンに似て茎 たけ三十から四十センチに伸び、夏季に白い花を開く。蛇床子の大きさは卵形で長さ二~三ミリ、全面にトゲ状も 毛が生えており、山野を歩いていて衣服にくっつくと、なかなかとれないところからヤブジラミの名がついたものである。色は淡緑色で二個の実が密着している。抗トリコモナス、抗真菌作用、性ホルモン作用などが知られている。陰部湿疹、インポテンツ、不妊症などの治療にも用いられる。
    40. 大棗 (たいそう)

      体の弱い人には滋養薬となり、健康人には強精不老の効があり、神経を鎮める力もある。二次的薬効としては心身の緊張をほぐし、疼痛を治す効 がある。古典には「身中の不足を補い、百薬に和して、久しく服すれば身を軽くし年を延べる」とある。大棗には中国古来の王侯貴族たちは、長寿の秘薬として大棗とか乾竜眼を口に入れ、終日舌でころがして、その汁を服用していた。これはまことに理屈にかなった不老回春法で現代のホルモン学説やストレス学説からも説明がつくといわれる。強壮と若返りを求めるときは一日量五グラムを煎薬または 浸薬として一日三回に分服する。そのまま食べても差し支えないし、熱い湯のなかに大棗 一個を浸し、しばらくおいて柔らかくなったところで食べても良い。大棗とはナツメのことである。ナツメはヨーロッパ東南部から、アジア全域にわたって栽培されている。
    41. 「蓮肉 (れんにく) 」

      強壮と強精に効があり、性力の回春と不老に効がある。その他、虚弱な婦人を強健にし、夜尿症を治し、浄血の力もあり、嘔吐と口渇を治すといわれる。古典には「心腎を交え、腸胃を厚くし、精気を固くし、筋骨 を強くし、虚損を補す」とある。蓮の歴史は人類とともにあり、エジプトパピルスのなかでも、蓮は薬方の一つとされている。わが国には中国を経て伝来し、一千年以上前の古文書でも紹介されている。蓮の花が咲き終わると蜂の巣状の花托が生じ、楕円形の果実を生じる。堅い外皮をとって乾燥したものを生薬蓮肉という。蓮肉の成分はネルンビン、ラフィノーズなどのアルカロイドである。しかし、微量なので大量にとらぬ限り中毒を起こす おそれはない。健康人が疲労回復、強壮、強精の目的で食べるときには一日量八グラムを食するといい。
    42. 「楮実子 (ちょじつし) 」

      主に、強壮と強精に効果があり、催春薬として用いられ 、陰萎を治し、不老の効果もある。二次的効果としては尿の出をよくし、肌を美しくし、視力を強くする。古典には「陰萎水腫を治し、気を益し肌を充たし目を明らかに する、久しく服すれば老いず身を軽くする。」とある。楮とはコウゾの木である。古くから和紙の製造にはなくてはならぬ植物でコウゾ、ミツマタ、ガンピなどの樹皮を剥いで くだき、それで紙を作ったのである。書籍や帳簿にするにはコウゾの紙が最も丈夫で永きに耐える。このコウゾの果実はゴマ粒位であるが、無味無臭で強性、強精薬である。果実にはサポニン、ビタミンB脂肪酸のリノール酸などが含まれている。一日量八グラムを煎薬として三回に分けて食間に服用する。
    43. 「女貞 (じょてい) 」

      女貞の原植物はネズミモチ又はタマツバキと呼んでいる常緑樹で、全国いたるところの山野に自生し、庭木などにも植えられている。厚い円形の葉をして、夏季に白い花が咲く。長楕円形の果実は熟すると紫黒色になるが、この実を乾燥したものを生薬女貞として用いる。果実にはオレアノール酸、ウルソール酸、マンニトールなどが 含まれ、オレアノール酸には強心、利尿の効果が知られている。精力の成分は明らかにされていない。主な薬効としては強壮と強精に用い、精力を旺盛にし、衰えた性の活力を回春に導く効が強く、不老の効もある。神経の痛みを鎮めて、筋骨を強くする効果もある。古典には「陰を強くし、腰膝を健にし、白髪を変じ、目を明らかにする」とある。
    44. 「木天寥(もくてんりょう)」

      日本各地、朝鮮半島、中国東北部などに分布するマタタビ科のつる性植物マタタビの果実の虫コブを用いる。マタタビの花の子房にマタタビ
      アブラムシが産卵し、そのため実は異常発育し凹凸不整の虫こぶとなる。マタタビの葉や茎、果実に含まれるマタタビラクトンはネコ科の動 物を興奮させ、陶酔状態にし、唾液分泌を促進する。成分のアクチニジンは鎮痛作用や性腺に対する作用が実証されている。主に心身を強 壮に、精力を強化し、性を旺盛にする。身体を温める効果もある。 利尿、鎮痛の効もある。 古典には「一切の風血を主治し、腰脚を理し、身 軽くして白髪を変え老いず」とある。天寥酒はこの生薬で作る有名な強精酒である。
    45. 「和木瓜(わもっか)」

      和木瓜の原植物はクサボケ、ノボケ、ジナシ、シドミと呼ばれるバラ科の落葉樹で、本州南部と九州に自生している。高さ五十~六十センチに伸び、山地に育ったものは二メートルにも及ぶものもある。全株に刺状の茎がでて、早春に葉と前後して朱紅色の美しい花を開き、夏になって、二~三センチの楕円形の実を結ぶ。酸味が強いが熟すると食用になる。この果実を採取し、縦に四つわりにして乾燥させたものが生薬和木瓜として薬用にする。 唐木瓜はカリンのことで、咳止めである。和木瓜は主な薬効は衰えた体を強健にし、精力の強化と造血の効もある。熱さあたりや下痢に利用され、脚気を予防する。刺激や副作用のない極めて安全な強壮、強精薬です。
    46. 「土通草(どつうそう)」

      土通草の原植物はラン科のツチアケビでわが国の各地の山地に自生する。高さ一メートルに達するものもあり、六月頃二~三センチの黄褐色の花を房状につけ、あと赤色の長さ十センチ位の紡錘状の実をつける。果実をつけた形が錫杖ににているので、ヤマシャクジョウともも呼ばれる。この果実を乾燥したものが土通草である。味は渋く煎薬として用いられる。主な薬効としては全身の器官を健やかにし、精気を強め性機能を旺盛にする。 二次的には尿の出を良くし、淋疾を治す効もある。強精薬として江戸時代から用いられた要薬で、わが国の山地に産するため価も安くて、しかも無毒で副作用がなく安心して服用でき、且つ効果も期待できる薬草である。
    47. 「覆盆子(ふくぼんし)

      覆盆子の原植物はわが国ではトックリイチゴといっている。原産地は中国で、広く全国の山野に自生している。ふつうのイチゴと違って低い木で、全茎にトゲがあり、白い花を開く。普通のイチゴのように赤く熟する実をつけず、偽果といって未熟な果実のままで種子ができる。この偽果を乾燥したものが生薬覆盆子である。おもな薬効は強壮スタミナ剤として、活力、性力を強化し、疲れ衰えた春をよみがえらす。陰萎に効あり。二次的には肝臓と腎臓の力を強くし、解熱と肌を美しくする効果もある。古典には「男子の腎精、体力欠乏、陰萎をして堅長ならしめ、女子これを食えば子をもうける」とある。成分には有機酸、糖類、ビタミンA様物質などが含まれる。
    48. 「竜眼(りゅうがん)」

      竜眼は中国南部地方の原産で、台湾、沖縄、わが国の九州南部に生育している。長楕円形の葉は裏が白く、芳香のある黄白色の花を開き、果実 は直径三センチの球形をして仮種皮のなかに一個の竜の眼のような黒い種子を含む。果汁は甘く、中国人の中産階級以上の華商は、中年以降になると日常絶えず何かを口中にいれてモグモグと転がしている。これは乾竜眼の外皮を剥いで一粒を口中に入れ、飴をしゃぶるように舌で転がしているのである。竜眼は唾液で柔らかくなめらかになる。午前に一個午後に一個用いる。三~四時間転がしていると種皮は自然に取れるのでそのまま食べて種はすてる。これによって口内諸器官に適度な運動を与えると同時に歯も顎も丈夫になり口熱も消える。何よりも効果のあるのはホルモンの泉ともいうべき唾液を飲み込むことで、これが回春と不老に役立つのだという。成分としてはアデニン、コリンなどである。
    49. 「山茱萸(さんしゅゆ)」

      庭の山茱萸の・・・と歌にまで謡われ広く知られたこの木は中国と朝鮮が原産地で、わが国にも観賞用として古くから栽培されている。高さ三~四メートルに伸び、春に黄色い花をつける。この果実の種子を抜き乾燥したものが生薬山茱萸である。成分にはイリドイド配糖体のモロニサイド、スウロシド、ロガニン、ウルソール酸、タンニンなどが含まれている。強精の効が強く、回春と強性に効果があり、陰萎の治療薬にもなる。又、利尿作用があり、寝汗を治し、強肝にもよい。古典には「気を下し、陰を強くし精を益し、五臓を安んじ小便を利す、目を明らかにし力を強くする」とある。山茱萸の強精作用は中国の歴代の皇帝にも高く評価されていて、多くの妻妾を御するのにこの生薬を利用していたといわれる。
    50. 「菟糸子(としし)」

      原植物は、わが国及び中国、朝鮮など東南アジア全域に分布するヒルガオ科のつる性一年草でナナシカズラの種子を用いる。ネナシカズラは寄生植物で他の植物にからみつき、吸盤で養分をすいながら成長する。宿主植物が決まると根に続くところが枯れて根がなくなるためネナシカズラの名前がある。成分としてはカロテン、タラキサンチン、ルテインが含まれている。主な薬効としては身体を強壮にし、精力の源を培って強化し、性に活力を与える。遺精、陰萎に効果がある。古典には「肌を養い陰を強くし、筋骨を堅くし、久しく服すれば目を明らかにし身を軽くして年をのべる」とある。菟糸子の強精、回春、強壮効果は古くから知られている。常用すれば仙人になることができるという。
    51. 「青そう子(せいそうし)」

      熱帯の荒地に生息するヒユ科の一年草、ノゲイトウの種子を 青そう子(せいそうし)という。果実は球形で黒褐色に光っており、とても小粒である。ケイトウの種子も青そう子として市場にはでている。「神農本草経」では青そう子を草決明ともいわれている。セロシアオールを主成分とする脂肪油が含まれている。降圧作用や瞳孔散大作用が知られている。漢方では体の不調を治し、精力の源を培い、性の力を倍加する、健脳と健眼にも効果がある。古典には「五臓の邪気を治し、脳髄を益し肝をしずめ、耳目をあきらかにし、筋骨を堅くす」という温和な保健強精薬である。
    52. 「羅摩子(らまし)」

      日本全土および朝鮮半島、中国、東南アジアに広く分布するガガイモ科のつる性の多年草、ガガイモの全草を用いる。このガガイモの果実を羅摩子という。茎を折ると乳白色の汁がでる。秋に結実する果実は長さ十センチ以下の細長い袋状で、熟すると二つに裂けて中から多くの長い綿毛をつけた種子がでてくる。葉や種子は乾燥してからすりつぶし粉末にして、滋養強壮、強精剤として使われている。全草にはプレグナン誘導体が含まれている。強精と催春の効果は極め付きといわれる。古典には「家を去る千里羅摩とクコを食うなかれ、精気を補益し、陰道を強精にする」といわれている。一日量五グラムを煎薬又は浸薬として三回に分服する。
    53. 「胡麻(ごま)」

      ゴマの原産地はエジプトまたはインドとされている。中国より西方の国を胡といったので、胡麻と名づけられたらしい。ゴマ科の一年草、ゴマの成熟種子である。種子には脂肪と蛋白質が豊富で、含有率は四十から五十五パーセントもあり、炒って砕いたあとに蒸して圧搾すれば風味のよいゴマ油が得られる。種子には脂肪酸としてオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸が多く含まれるほか、セサミン、ササミノール、レシチン、コリンなどが含有される。本邦では胡麻は食用とされているが、これは精力の要薬である。回春と不老の効があるばかりでなく、体内の毒を消し、肌を美しくし、胃腸の働きも活発にする。古典には「五内(臓器)を補し、気力を益し、肌肉を長じ、髄脳をみたし、久しく服すれば身を軽くし老いず」とある。炒ってから粉末にして食すると良い。
    54. 「海松子(かいしょうし)」

      原植物はチョウセンマツ又はチョウセンゴヨウといい、原産地は朝鮮で、本邦では東北地方に少し産する五葉松の一種である。葉が五葉で松かさは普通のまつより大きく、種子は卵形をして一センチから二センチ位の大粒のものもある。油を多く含んでいて味はかすかに甘い。気力を盛んにし、精力を強化し、白髪を黒くし、回春と不老の効あり。古典には「久しく服すれば身を軽くし年を延べ老いず」とある。本邦で市販されている「松の実」のほとんどはチョウセンゴヨウの種子、すなわち海松子である。松の実は古来仙人の霊薬といわれてきた。この実には脂肪、蛋白質が豊富で脂肪はパルミチン、ミリスチン酸などの脂肪酸、蛋白質にはアルギニン、ヒスチジン、チロジングルタミン酸などのアミノ酸が含まれる。
    55. 「胡ろ巴(ころは)」

      胡ろ巴(ころは)の原植物はやはりコロハといってギリシャから西アジアのかけて自生するマメ科の草で、全株に強い香気をもっている。初夏に 白い花を開いて実を結び、種子は三~五ミリくらいである。コロハは精力に使うほか、カレー粉やソースの原料として世界的に需要が多い。身体の強壮と栄養に貢献するところ多く、精を強め性を盛んにする。二次的効果として疲労を除いて心身をやわらげ、浄血と利尿の効もある。古典には「腎虚、冷腹、張満、面色青黒を治し、膀胱を治すにはなはだ効あり」生薬コロハの成分はトリゴネリン、コリンの微量のアルカロイドを含有する。しかし、中毒をおこす心配はなく精力増進や遺精冷えによる下腹部痛や下肢痛、月経痛に用いる。冷えは精力には良くない。
    56. 「決明子(けつめいし)」

      普通は緩下薬なのだが、強壮の効果が強く視力も強化する。又、利尿の効果もあり、頭痛や頭重を除いて気持ちをさわやかにする。古典には「久しく服すれば精光を益し身を軽くする」とある。原植物は熱帯地方に分布するマメ科の低木性植物コエビスグサおよびエビスグサの種子である。エビスグサは外国の草という意味であり、決明とは「目を明らかにする」という意味である。決明子はわが国の民間ではハブ茶の原料として知られている。成分としてはアントラキノン誘導体のエモジンやアロエエモジン、クリソファノールなどが含まれる。精力増強にいいと古典の書物でも紹介されている。
    57. 「酸棗仁(さんそうにん)」

      酸棗仁の原植物はサネブトナツメで南欧が原産地で本邦でもいくらか栽培されている。ナツメに似た植物で実もナツメに似て楕円形だが肉が薄くて種が大きい。棗よりも酸っぱいので酸棗の名がある。強精の要薬で、回春の効があり、神経を強壮にすることでも有名である。不眠症を治し健胃の効もある。古典には「五臓を安んじ身を軽くし年を延べる」とある。神経衰弱や房事過度によ不眠や過眠に愛用されている。この種子には成分としてベツリン、ベツリン酸、サポニンのジュジュボシドA、Bなどが知られている。
    58. 「蘇鉄実(そてつじつ)」

      九州南部や沖縄、中国南部に分布するソテツ科の常緑低木、ソテツの種子を用いる。本邦の民間で蘇鉄実、蘇鉄子といっている。ソテツ(蘇鉄)という名は元気がなくなれば鉄釘を幹に打ち付けたり、鉄くずを養分として与えると蘇生することに由来する。発がん性物質を含有するので、余り食しないほうがいい。アデニン、ヒスチジン、ホルムアルデヒド、配糖体のサイカシンが含まれている。かっては強壮薬として、不老の効も認められ回春用に使われた。
    59. 「肉豆く(にくずく)」

      原植物はニクズクという熱帯性常緑樹で高さ十~二十メートルに伸び、枝が盛んに出て円錐形の樹冠を作る。果実は球形で熟すると二つにわれ紫赤色の長楕円形の種子を露出する。精気の興奮に役立ち、強壮薬となり、消化を促進し、香料にもなる。ニクズクは欧州では古くから薬用、香料として使われてきた。特にアラビア、ペルシャでは性的強壮剤として珍重された。主成分はミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸のほか精油としてオイゲノール、リナロール、ゲラニオール、ボルネオール、サフロールなどが確認されている。中世の欧州では媚薬としても利用された。古代から中世までは黄金と同価値に扱われていたほどだったが、現在は栽培が普及し安価に入手できるようになった。
    60. 「肥後芋茎(ひごずいき)」

      芋(さといも)の茎である。須伊木ともいい、煮食すると柔らかくて味は淡白、皮をはいで乾燥すれば白色で干瓢のようである。これを水に晒してから使用する。肥後のものがもっとも好まれるが普通の産地のものでも良い。成分には粘液質のガラクタン、蓚酸カルシウム、ホモゲンチジンなどが含まれる。これらの成分は敏感な体質の方はかぶれやすいので用心しなければならない。不感症、冷感症の女性の陰部に塗布するとむず痒くなって性欲をもようすという。
    61. 「何首烏(かしゅう)」

      中国原産であるが、江戸時代に八代将軍吉宗が中国から苗を取り寄せて全国に栽培させたと伝えられている。地下の根茎は蛇のようになっている。何首烏というこの人は生来生殖機能が小さく、五十八歳になるまで妻子がなかった。山中で修道生活に入っていると、山酒に酔ったとき二株の藤が蔓と蔓を絡ませるのを見て、その根を粉にして服したところ、数ヶ月で強健になり、一年で生来の疾病が治り、白髪は黒くなり、容貌も若くなって数人の男子をもうけた。その子延秀も百六十歳まで長寿を保ち、その子の首烏も百三十歳まで頭髪が黒かった。本邦ではツルドクダミとも呼ばれ、成分としてはアントラキノン類のクリソファノール、エモジン、レシチンなどが含まれ、強壮、強精剤として広く利用されている。
    62. 「柏子仁(はくしにん)」

      虚弱な体には栄養剤となり、健康人には強精の効があり、浄血と鎮痙の効もある。二次的効果として肌を美しくし、痛みを鎮め、利尿の効果もある。古典にも「心気を養い、腎燥を潤し、魂を安んじハクを定め、智を益し神を安んず」とある。柏子仁は中国古来の強精薬として高く評価され、神農本草経でも上薬として収載されている。江戸時代には将軍家から庶民まで、強精剤として愛用されていた。強精、強性のためには一日量八~十グラムを煎薬として一日三回に分服する。柏子仁の原植物はコノテカシワというヒノキ科の常緑樹で、十メートル位に伸び、葉はヒノキに似ている。小さい白い花を開き、さやになった実に一個だけ種子がある。この種子の仁を柏子仁といって薬用にする。
    63. 「胡桃仁(ことうじん)」

      生薬胡桃仁の原植物はテウチクルミ、オニクルミの実のなかにある種仁である。全国各地に自生しているが、新潟、長野では栽培している。クルミは千二百年前位に中国から渡来したもので西域の胡の国からもたらされたといわれる。強壮薬としても効果があり、強精の力も強く、滋養剤としても効果がある。古典には「気を補い、血を養い、燥を潤す」とある。成分としては脂肪油で四十~五十パーセント含み、リノール酸グリセリドのほか、ペントザン、ユグロン、ヒドロユグロンが含有される。クルミ健康法として殻のついたクルミを二個を掌のなかで、ゆっくりと握って、弱くあるいは強く、たえず回転させながらころがす。これによって掌と指に力が加わり頭にのぼりがちな血液を還流させ、血圧を下げ、健康に良い効果がある。
    64. 「ヨクイニン」

      東南アジア原産のイネ科の一年草、ハトムギの種子を用いる。薬材にはこの種子から皮を除いた白い種仁をヨクイニンといっている。七~八世紀にわが国には中国から渡来した。江戸時代(享保年間)から栽培されるようになり、わが国ではジュズダマを川穀といい、ヨクイニンの代用としては用いない。ハトムギはジュズダマとよく似ているが、ジュズダマの表面は硬いホウロウ質で、指で押しても砕けない。東南アジアや中国ではハトムギでおかゆを作ったり、米と一緒に炊いて食用にしている地域もある。その成分のなかに微量のアルカロイドが含まれており、その毒性はかえって薬成分となり、疾病に効果をあげるとともに、強壮薬としての役も果たしている。古典には「久しく服すれば身を軽くし、気を益す」とある。
    65. 「キナ皮」

      強壮の要薬として強精剤としても解熱と鎮痛にも優れた効きめがある。マラリヤの特効薬として知られる。南米のアンデス山中にあるアカネ科の常緑高木、アカキナノキなどの枝や幹、根などの樹皮を用いる。ペルーの住民は古くからキナノキの樹皮をマラリヤなどの熱病に用いていた。現在はアカキナノキを台木とし、キニーネ含量の多いボリビアキナノキを接木して栽培される。キナ皮にはキニーネ、シンコニン、キニジンなどのアルカロイドなどが含まれ、キニーネには抗マラリア、陣痛促進作用、解熱作用、、キニジンには抗不整脈作用がある。キナ皮の三十種に近いアルカロイドの中で、マラリヤの効果のあるのは二、三種で残りの二十数種のアルカロイドを含むキナ皮には強壮、強精、鎮痛、解熱、造血の聖薬として煎薬や粉末として利用される。
    66. 「杜仲皮(とちゅうひ)」

      強壮と強精の要薬で、回春の効著しく、痛みを鎮め、神経衰弱にも効果がある。古典には「中を補し、精気を益し、筋骨を堅くし志を強くする。 久しく服すれば身を軽くし老に耐える」とある。杜仲は中国原産の落葉樹で、かっては自生だったが近年は栽培されている。薬用にするのはこの樹皮で、外の荒皮を剥いで除き乾燥したものが生薬杜仲である。 杜仲は切ったり、折ったりするとハスの茎のように白い糸を引く。これはグタペルチアというゴム質のせいである。もっとも古い中国の強精薬で、王侯貴族は多くの妻妾を抱えた ので精力の消耗が激しく、強腎食を多食するかたわら、こうした精力剤を用いたと伝えられる。中国産の唐杜仲も日本産の和杜仲(マサキ)も同じ目的で使用される。
    67. 「合歓皮(ごうかんひ)」

      健康を整え、精力をつけ、心気を興振して回春の効をあげる。古典には「五臓を安んじ心志を和す、人をして歓楽して憂いなからしむ。久しく服すれば身を軽くし、目を明らかにし、欲するところを得る」とある。 中国では古くから愛用されている精力剤である。合歓の原植物はネムの木という落葉樹で、東アジア全域に自生する。葉は夜になると両方から閉じるので眠りの木の名がある。 中国の書に、人の怒りを静めんとせば、贈るに青裳(ネムノキ)をもってせよ。という諺がある。強精と強壮には樹皮を刻んで一日十グラムを煎薬、又は浸薬として三回に分服する。 合歓酒は強精酒としても有名である
    68. 「桂枝(けいし)」

      主な薬効は健康を増進し、心神を爽快にし、精力をつけ、健胃と老化防止の効もある。その他、腸を整え、熱を解き、痛みを鎮める。古典には「一切の風気を治し、五労七傷を補し、精を益し目 を明らかにし、肌肉を生じおけつ(血の循環の悪い病)を消す。桂皮、桂心、桂葉などがある。桂枝は中国南部やインドシナ半島に自生し、栽培されているクスノキ科の常緑高木、ケイの若枝を桂枝という。 特有の芳香があり、わずかに甘味がある。一般にはシナモンで総称している。成分としてはケイアルデヒドが含まれている。漢方では葛根湯、桂枝湯、苓桂朮甘湯その他多くの方剤に配合されていて、強壮と興奮の発揚剤としても用いられている。
    69. 「茯苓(ぶくりょう)」

      日本、中国、北米に分布し、アカマツやクロマツなの根に寄生するサルノコシカケ科のマツホドの菌核を用いる。菌核とは菌糸の塊で、不規則な塊状をなし、大小もさまざまである。 なかには重さ一キロ以上で人の頭くらいのものもある。表面は灰褐色であるが、中は白い。伐採後四~五年の松の切り株に発生する。強精の秘薬として、百薬に調合する。回春の効も高く、強心剤 として用いられ、利尿と鎮静の効もある。古典には「久しく服すれば魂を安んじ、神を養い年を延ばす」とある。成分としてはトリテルペノイドのエブリコ酸、パキマ酸、 ツムロース酸、多糖体のパキマ酸、ステロールのエルゴステロールなどが含まれる。薬酒にも料理にも利用できる。
    70. 「伊保多(イボタ)」

      強壮と強精の秘薬としてわが国で古くから愛用されている。一般には尿の出を良くし、止血の効もあり、イボ取りにも役立つ。(イボ取りの木) 原植物はイボタの木というモクセイ科の落葉樹である。この木にイボタカイガラ虫が寄生し、七月頃に雄虫が体の表面に蝋を分泌して九月中旬に蝋の巣のなかで羽化して成虫になる。交尾後に雄虫は死ぬが、この雄虫が飛び去った後の、蝋の巣を採取したのが伊保多で、また伊保多の花ともいわれる。富山県や福島県で産する。 常用しても安全な精力剤で成分としては脂肪酸のセロチン酸、イボタセロチン酸、セリルアルコールが含まれる。内服する場合はそのままで、一日量六グラムを三回に分けて用いる、煎薬とはしない。イボタの木から採取した灰白色の粉粒形のものを用いる。
    71. 「淫羊かく(いんようかく)」
      原植物はイカリソウである。山野に自生する多年草で、茎の高さ30~40cmになり、長卵形の薄い葉を茎から三枚づつだし、枝も三本づつでるので、三枝九葉草の名がある。中国ではこの草を食べた老人が青年のようになり杖もいらなくなったというので放杖草ともいい、効果がいいので千両金とも言っている。
      我が国では初夏につけるその花が碇の形ににているのでイカリソウの名でよばれている。
      我が国ではホザキノイカリソウ、シロバナイカリソウ、バイカイカリソウ、キバナイカリソウなど。中国ではホザキイカリソウ、チョウセンイカリソウその他多数あるがいずれも薬用にしている。
      この生薬の性的強精の効は古くから有名で、我が国にも漢方医学の伝来と同時に賞用されている。
      伝説によると中国四川の比部という山村で、ヒツジ群のなかの一頭が特に性的に強く、一日百頭の雌羊を犯して衰えづ、その原因
      を調べたところ、この草を毎日好んで食していたので、淫羊かくと名づけたという。中国では豆の葉をかくといい、この草の葉が豆の葉に似ているところから名ずけらた。成分としてはイカリイン、フラボノール配糖体、マグノフロリンなどである。
      煎薬としては一日量八~十グラムを煎じて一日量とする。
    72. 「海狗腎(かいくじん)」
      オットセイのペニスを乾燥したものである。オットセイはアシカ科の海獣である。強い雄は三十頭の雌を従える。雄は体長二メートル体重二百キロ雌は体長一メートル体重四十五キロほどである。
      海狗腎といわれ、男性ホルモンのアンドロステロンやアミノ酸、脂肪などを含有し、インポテンツに効くということで大々的に売り出されていた。
      回春を求めて人々は薄暗くなってから、人目を気にしながら、薬屋ののれんをくぐったようである。
    73. 「別甲(べっこう)」
      スッポンの背および腹の甲羅を用いる。一般には背の甲羅が使用される。背甲を煎じ煮詰めたニカワを別甲膠という。
      スッポンは淡水に生息し、背甲は淡い灰緑色の楕円形で亀甲がなくて中央が突起し、口は長く突き出ている。
      クコシ、オウギ、トウキ、サンヤクなどとスープにしたものは薬膳として知られている。
      スッポン料理は強精食として有名であり、滋養、強壮や発熱マラリアなどによる肝脾腫、腹部腫瘤、小児のひきつけなどにも用いる。
      腫瘤や肝脾の腫大にはゴシュユ、ハンゲなどと用いる。サイコ、ダイオウと配合した処方もあり、
      抗腫瘍作用について研究が進められている。
    74. 「朝鮮人参(ちょうせんにんじん)」
      江戸時代には高貴薬として病身の親に人参を飲ませるため苦界に身を沈める娘が多くいたことはよく知られている。
      野菜の人参はセリ科だが、高麗人参はウコギ科の多年草である。日本に渡来したのは享保の初期で、幕府が種子を与えて栽培を奨励したことから御種人参ともいわれる。
      当時、労咳と呼ばれた肺病は薬がなく人参に頼るしか術はなかった。当時は労咳は今のガンのようなもので、不治の病
      であつた。高麗人参は弱った体力を補い、新陳代謝機能を回復させる作用があり、食欲不振、体力増強にも効果が確認されている。
      特に白参の根を湯通しして蒸気で蒸したあと乾燥させたものが紅参である。生の根を一日天日で乾燥した後、硫黄でいぶして再び天日干しするという方法もある。紅参は免疫力を高める作用があるというので、注目されている。
    75. 黄精(おうせい)」
      黄精とはナルコユリの根茎である。各地の山林や草原に自生するユリ科の多年草である。地下茎が横に延びて、その先端から一年
      ごとに一本の茎を出す。年節がはっきり残っている。薬にするのは根茎部、花の時期か茎葉が枯れる秋に根茎を堀りとり、ひげ根を取り除き、水洗いして天日で乾す。
      これが生薬・黄精である。多数の結節がある円柱形で長さは四~六センチで、淡黄色か褐色をしており、甘い匂いがする。
      澱粉のほかアルカロイドが含まれる。江戸時代には黄精の砂糖漬を売り歩く声を聞かない日はなかったそうである。黄精売りは湯女屋から声のかからぬ日はなかった。
      俳人の小林一茶は精力絶倫だったそうだが、この黄精の大の愛用者でもあった。
      黄精酒は強精にお奨めの一品である。
    76. 冬虫夏草(とうちゅうかそう)」
      中国の四川、貴州、チベットなどに産するガの幼虫に生えたキノコの一種を用いる。このキノコはバッカクキン科のフユムシナツクサタケと呼ばれる菌類で、とくにコウモリガ科の昆虫の幼虫に寄生する。
      幼虫の体に入った菌は菌糸を伸ばして成長し、やがて体内を完全に占領し、さらに長い柄を出してキノコが発生する。
      幼虫の長さは三~八センチ、柄の部分は四~十センチある。頭部がやや膨らんでいる。市販されている生薬は全長が10センチ前後、黄褐色である。
      冬には虫の姿をし、夏に変じて草になると信じられていたため冬虫夏草の名があり、古来ウドンゲとともに吉祥のしるしとして知られていた。現在昆虫寄生菌を総称して冬虫夏草といっている。蝉の幼虫に寄生したものを特に金蝉花といっている。
      成分としてはコルジセピン、コルジセプス酸、ビタミンB12などが含まれ漢方では肺結核の咳、喀血、自汗、寝汗、インポテンツなどに使用される。
    77. 「紫河車(しかしゃ)」
      人の胎盤を乾燥したものを用いる。紫河車は健康な産婦の分娩時に排出された胎盤の血管を切り、何度も水で洗い煮たり、蒸したりした後に乾燥したものである。薬材は直径十~十五センチの皿状で、一面は全体に凹凸があり、もう
      一面は羊膜に覆われて平滑で、中央に臍帯の残りがある。胎盤にはさまざまな成分が含まれており、性ホルモン、γーグロブリン、ウロキナーゼなどがある。
      胎盤埋没療法が研究され、リュウマチやアレルギー疾患に効果があるといわれたこともある。
      胎盤製剤は更年期障害や乳汁分泌不足の治療に用いられている。またウシ胎盤エキスは抗潰瘍剤として用いられている。
      漢方では補気、補血、補陽の効能があり、不妊症、習慣性流産、インポテンツ、虚弱体質、結核、喘息、神経衰弱などに用いられる。
    78. 「桑ひょう蛸(そうひょうしょう)」
      カマキリ科のオオカマキリ、コカマキリなどの卵鞘を用います。カマキリの成虫は蟷螂(とうろう)と呼ばれていますが、余り用いない。桑の枝に付いているものが珍重され、桑ひょう蛸と呼ばれたいる。カマキリの巣を晩秋から春に採取し、せいろで三十~四十分蒸して卵を殺した後乾燥する。
      日干し乾燥したものは硬く、火であぶったものは柔らかい、一般には幼虫の出たものは用いない。成分不詳。卵鞘に付着
      している蛋白質膜にはクエン酸カルシウムの結晶が含まれている。漢方ではインポテンツ、遺精、夢精などに用いる。
      腎虚には頻尿、遺尿、遺精、健忘症、不眠などに遠志、人参などと配合する。至宝三鞭丸にも配合されている。
    79. 「孫太郎虫 
      山椒魚、鰻が小児五疳の妙薬といわれた。特に有名なのは「孫太郎虫」である。これは戦前まで売られていたようで、いくつかを串刺しにして売る歩いていたという。孫太郎虫売りである。
      孫太郎虫とはヘビトンボの幼虫で、東北の農民の飢餓生活が生み出した、蛋白食である。体長3~5cmの、ムカデのような灰黒色の虫である。
      これを焼いて砂糖醤油をつけて食べるとイナゴのような味がするという。実際には焼いてふりかけにして食べさせたようである。山椒魚も蛋白源としても利用されていたが、どちらかというと精力剤としての需要のほうが多いようである。
      鰻も又、高たんぱくであるからやはり栄養不良の虚弱体質の子供に疳性の子供が多いのではないだろうか。
    80. 「いもりの黒焼き」
      黒焼は炭化する前の状態で止めて作り上げるのである。有名なものにはイモリの黒焼がある。正徳三年(1713年)刊の和漢三才図会には「イモリの交合せるものを山を隔ててこれを焼き、もって媚薬となす。壮夫争いてこれを求む」とある。雌雄のイモリを捕らえて竹筒の節をへだてておくと、三夜のうちに節を食い破り、交接した形になっているという。
      これを別々に素焼きの土器にいれ黒焼にする。できあがったところで薬研ですり粉末にする。これを意中の人にふりかけるのではなく、
      一服飲ませるのである。なびくのは間違いないという。恋い患いの特効薬である。
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